ISDNはいつ終了?2024年・2026年・2028年の違いを解説

「ISDNは2024年に終了した」と認識している方も多いかもしれません。
しかし、2024年にISDN(INSネット)のすべてが終了したわけではありません。
2024年1月から地域ごとに段階的に終了したのは、主にデータ通信に使われていた「ディジタル通信モード」です。
その後、インターネット接続サービスの「フレッツ・ISDN」は2026年1月31日にサービスを終了しました。一方、NTT東日本・NTT西日本が提供する「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」は2026年現在も提供されており、2028年12月31日にサービス提供を終了する予定です。
つまりISDN終了については、「2024年に何が終了したのか」「2026年に何が終了したのか」「2028年に何が終了するのか」を分けて理解することが重要です。
- 2024年:INSネットの「ディジタル通信モード」が段階的に終了
- 2026年:「フレッツ・ISDN」がサービス終了
- 2028年:「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」がサービス終了予定
本記事では、ISDNとINSネットの基本から、2024年・2026年・2028年の違い、企業で確認が必要になる機器・システム、今後確認しておくべきポイントまでわかりやすく解説します。
この記事のもくじ
この記事の監修者
この記事の監修者 登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:
工事担任者(AI・DD総合種)
/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
ISDN終了とは?2024年と2028年の違いを整理
ISDN終了について理解するうえで最も重要なのは、2024年の「ディジタル通信モード」終了と、2028年の「INSネット」提供終了は別の出来事だという点です。
2024年を過ぎてもISDNを利用できているケースがあるのは、ISDN全体が2024年に終了したわけではないためです。
まずはISDNの基本を確認したうえで、現在までの流れを整理していきましょう。
そもそもISDN(INSネット)とは
ISDN(Integrated Services Digital Network)とは、電話やデータをデジタル方式で送受信する通信方式です。
NTT東日本・NTT西日本がISDN回線として提供しているサービスが「INSネット」で、「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」などがあります。
「ISDN」と「INSネット」は厳密には同じ言葉ではなく、ISDNが通信方式を表す名称、INSネットがNTT東日本・NTT西日本のサービス名称です。
INSネット64やINSネット64・ライトは、1本の契約回線で複数回線分を利用できることも特徴で、電話やFAXだけでなく、企業のさまざまなデータ通信にも利用されてきました。
出典:NTT東日本「INSネットのサービス終了 よくあるご質問」
アナログ回線とデジタル回線(ISDN回線)の違い
電話回線には、アナログ回線やデジタル回線などがあります。
- アナログ回線
音声などをアナログ信号として伝送する回線 - デジタル回線(ISDN)
音声やデータをデジタル信号として伝送する回線 - 光回線
光ファイバーを利用してデータを送受信する通信回線
ISDNは、音声やデータをデジタル信号として扱います。
またINSネット64・INSネット64・ライトでは、1本の契約回線で2回線分を同時に利用できるため、電話をしながら別の通信を行うといった使い方も可能でした。
こうした特徴から、ISDNは電話用途だけでなく、POSやEDIなど企業の各種データ通信にも利用されてきました。
2024年に終了したのは「ディジタル通信モード」
2024年に話題となった「ISDN終了」は、主にINSネットの「ディジタル通信モード」終了を指します。
INSネットでは電話やFAXなどに利用する「通話モード」と、専用端末によるデータ通信などに利用する「ディジタル通信モード」が提供されていました。
NTT東日本によると、ディジタル通信モードは2024年1月から地域ごとに段階的にサービスを終了しています。
一方、2024年の時点で「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」そのものがすべて終了したわけではありません。
そのため、
という状況があっても矛盾ではありません。
2024年に終了した対象と、今後終了するINSネット本体を分けて理解する必要があります。
なぜ2026年現在もISDNでデータ通信できるケースがあるのか
ディジタル通信モードの終了後も、NTT東日本・NTT西日本は、別サービス等への移行が間に合わなかった利用者向けに「切替後のINSネット上のデータ通信(補完策)」を提供しています。
この補完策では、既存のINSネット対応端末を利用してデータを送受信できる場合があります。
ただし、従来のディジタル通信モードとまったく同じ品質で利用できるわけではありません。
NTT東日本は、補完策では従来のディジタル通信モードより伝送遅延が生じ、処理時間が増大するなど、利用する機器によって通信に影響が発生する可能性があると案内しています。
また、この補完策は恒久的なサービスではなく、2028年12月31日に終了予定です。
「現在も通信できているから何もしなくてよい」と判断するのではなく、利用している機器・システムと移行状況を確認しておくことが重要です。
「フレッツ・ISDN」は2026年1月31日に終了済み
ISDN関連では、「フレッツ・ISDN」と「INSネット」を混同しないことも重要です。
フレッツ・ISDNはISDN回線を利用したインターネット接続サービスで、NTT東日本・NTT西日本は2026年1月31日にサービス提供を終了しました。
一方、電話やデータ通信などに使われてきた「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」は、2026年1月31日に終了したわけではありません。
INSネットについては、2028年12月31日の提供終了が予定されています。
INSネット:2028年12月31日に終了予定
2028年12月31日にINSネット自体が終了予定
2026年現在、ISDN利用企業が次に意識すべき大きな期限は2028年12月31日です。
NTT東日本・NTT西日本は、「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」について、2024年8月31日に新規・移転申し込み等の受付を終了し、2028年12月31日にサービス提供を終了すると案内しています。
また、2024年から提供されているデータ通信の補完策も同日に終了する予定です。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2024年1月~ | INSネットの「ディジタル通信モード」が地域ごとに段階的に終了。データ通信の補完策を提供 |
| 2024年8月31日 | INSネットの新規・移転申し込み等の受付終了 |
| 2026年1月31日 | フレッツ・ISDNのサービス提供終了 |
| 2028年12月31日 | INSネット64・INSネット64・ライト・INSネット1500のサービス提供終了予定。データ通信の補完策も終了予定 |
つまり、現在「ISDN終了」という言葉で最終的に意識しておくべきなのは、2028年末のINSネット自体のサービス終了です。
現在もINSネットを利用している企業は、それまでに利用環境を確認し、必要に応じて代替サービスや機器・システムへの移行を進める必要があります。
ISDN終了で影響を受ける企業システム・機器
ISDNは電話だけに利用されてきた回線ではありません。
企業によっては、決済や受発注、警備、設備管理など、普段は通信回線を意識しない機器・システムの裏側でINSネットのディジタル通信モードを利用してきたケースがあります。
そのため、オフィスの電話機だけを確認して終わりにしないことが重要です。
POS・EDI・CCT/CATなどで確認が必要な理由
NTT東日本は、INSネットのディジタル通信モードの主な利用例として、以下のような設備・システムを挙げています。
| サービス・設備 | 主な用途 |
|---|---|
| POS | 企業の本部と店舗間におけるPOS端末の通信 |
| CCT/CAT | クレジットカード会社と店舗間における信用照会端末の通信 |
| 警備 | 警備会社への監視映像などの通信 |
| EB | 銀行と企業間における振込・口座照会などの電子バンキング |
| EDI | 企業間における商品受発注などのデータ通信 |
| ビル管理 | エレベーターなどの監視映像送信・通報 |
| G4FAX | ISDNを利用するG4規格のFAX通信 |
| 銀行ATM | 銀行のセンター拠点と店舗ATM間のデータ通信のバックアップ |
| 企業内WAN | 企業内ネットワークにおけるデータ通信のバックアップ |
| レセプトオンライン請求 | 診療報酬などの請求データ通信 |
ただし、これらの設備がある企業すべてが現在もISDNを利用しているという意味ではありません。
同じPOSや決済端末でも、導入時期、メーカー、サービス提供会社、接続方式によって使用する通信回線は異なります。
「POSがあるからISDNを使っている」と判断するのではなく、実際の回線契約や端末・システムの仕様を確認する必要があります。
利用中の機器・サービスによっては動作確認が必要
INSネットの終了に伴う影響は、利用している設備やサービスの構成によって異なります。
確認しておきたいのは、たとえば以下の項目です。
- 現在契約している回線・通信サービス
- PBXやビジネスフォンなどの接続方法
- POS・EDI・警備端末などが利用する通信方式
- INSネット固有の機能を利用していないか
- 移行予定サービスと既存機器に互換性があるか
- メーカーやサービス提供会社が代替手段を案内しているか
現在問題なく利用できている機器でも、INSネット終了後の回線・サービスにそのまま接続できるとは限りません。
一方で、INSネットが終了するからといって、既存のPBXやビジネスフォンなどを必ずすべて交換しなければならないとも限りません。
機器構成や利用機能によって対応は異なるため、自社だけで判断できない場合は、通信事業者だけでなく、現在利用している機器メーカーや保守会社へ確認することが重要です。
企業が確認しておくべき3つのポイント
現在INSネットを利用している、あるいは利用している可能性がある企業は、いきなり新しい回線を契約するのではなく、まず現状を整理しましょう。
確認しておきたいポイントは大きく3つです。
- 現在ISDNを利用しているか確認する
- 2028年末までに代替回線・サービスへの移行が必要か確認する
- ISDN対応端末・システムの更改が必要か確認する
それぞれ詳しく解説します。
①現在ISDNを利用しているか確認する
最初に、自社のどこでISDNを利用しているのか確認しましょう。
電話設備だけでなく、POS、決済端末、FAX、警備設備、業務システムなども対象になります。
NTT東日本では、ディジタル通信モードを利用していたか確認する方法として、主に「機器構成の確認」と「請求書の確認」を案内しています。
機器構成で確認する
まず、DSU(ディジタルサービスユニット)やTA(ターミナルアダプター)に接続されている機器の構成、取扱説明書などから仕様を確認します。
POS、CCT/CAT、G4FAX、警備端末などの説明書や仕様書に、
「ISDN」
「ディジタル通信モード」
などの記載がある場合は、現在の契約・接続状況を詳しく確認してください。
ただし、ISDNで利用されてきた機器が設置されているだけで、現在もその回線を使用しているとは限りません。
実際の配線や契約状況まで確認する必要があります。
請求書で確認する
NTT東日本・NTT西日本の請求書(料金内訳)も確認方法の一つです。
ディジタル通信モードを利用していた場合、料金内訳に「INS通信料」と表示されます。
ただし、バックアップ用途などで利用頻度が低い場合には、確認した月の請求書に通信料が発生していないことがあります。
そのためNTT東日本では、必ず複数月の請求書を確認するよう案内しています。
また、NTT東日本・NTT西日本以外の通信会社を利用している場合など、NTT東西の請求書だけでは確認できないケースもあります。
判断できない場合は、契約している通信事業者や機器の保守会社へ確認しましょう。
②2028年末までに代替回線・サービスへの移行要否を確認する
INSネットを利用していることが分かった場合、次に確認するのが代替手段です。
重要なのは、「ISDNの代わりは必ずこのサービス」と一律に決められるわけではないことです。
電話で利用しているのか、POSやEDIなどのデータ通信で利用しているのかによって、必要な移行先は異なります。
NTT東日本ではINSネット利用者に対して、利用状況や提供エリアに応じて、
- フレッツ光
- ひかり電話
- ひかり電話ネクスト
- 加入電話
- ワイヤレス固定電話
などを案内しています。
また、他社サービスやモバイルサービスなどへ移行する選択肢もあります。
まず現在ISDNを何に使っているのかを明確にし、現在の用途・必要な機能を代替できるサービスを選ぶことが重要です。
③ISDN対応端末・システムの更改要否を確認する
回線を変更するだけで、現在使っている設備をすべてそのまま利用できるとは限りません。
PBX、ビジネスフォン、決済端末、警備端末、FAX、業務システムなどが、移行先の回線やサービスに対応しているか確認しましょう。
利用環境によっては、
- 既存機器をそのまま利用できる
- 接続機器やアダプターの変更で対応できる
- 機器やシステムの設定変更が必要になる
- 端末・システム自体の更改が必要になる
など、必要な対応が異なります。
特にPOS・EDI・決済・警備など、停止すると業務への影響が大きいシステムについては、2028年末の直前になって確認するのではなく、機器メーカーやサービス提供会社へ早めに移行可否を確認することが重要です。
ISDN終了後の主な代替手段
ISDN終了後の移行先は、現在ISDNを何に利用しているかによって異なります。
電話用途であれば、光回線を利用した電話サービスなどが候補になります。
データ通信であれば、インターネット回線やモバイル回線を利用するサービスなどへ置き換えられるケースもあります。
重要なのは、
です。
電話、FAX、POS、EDI、警備などを同じ環境で利用している場合、それぞれで適した移行方法が異なることもあります。
電話環境ではIP電話・クラウドPBXも選択肢になる
ISDNを電話用途で利用している企業では、INSネット終了に合わせて電話環境全体を見直す方法もあります。
その際の選択肢の一つが、IPネットワークを利用する電話サービスです。
たとえばクラウドPBXは、従来オフィス内に設置していたPBX(主装置)の機能をクラウド上で提供する仕組みです。
サービスによっては、スマートフォンやPC、SIP対応の固定電話機などを内線端末として利用でき、会社の電話環境を従来とは異なる形で構築できます。
ただし、ISDNが終了するからといって、すべての企業にクラウドPBXが適しているわけではありません。
既存の電話番号、利用台数、FAX・その他設備との接続、ネットワーク環境、必要な機能などによって適した構成は異なります。
クラウドPBXの基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【簡単図解】クラウドPBXとは?特徴・メリット・料金を徹底解説
電話設備を見直す場合の一つの選択肢として、仕組みを把握したうえで検討するとよいでしょう。
まとめ
ISDN終了については、2024年・2026年・2028年の違いを分けて理解することが重要です。
2024年1月から地域ごとに段階的に終了したのは、主にINSネットの「ディジタル通信モード」です。
その後、ISDNを利用したインターネット接続サービスの「フレッツ・ISDN」は2026年1月31日にサービスを終了しました。
一方、「INSネット64」「INSネット64・ライト」「INSネット1500」は2026年現在も提供されており、2028年12月31日にサービス提供を終了する予定です。ディジタル通信モード終了後のデータ通信の補完策も同日に終了予定となっています。
そのため現在INSネットを利用している企業は、まず自社の契約状況を確認し、電話だけでなく、POS・EDI・決済・警備などISDNを通信経路として利用している機器やシステムが残っていないか確認しましょう。
そのうえで、現在の用途に応じて代替サービスへの移行や、端末・システムの更改が必要かを判断することが大切です。
「2024年を過ぎたからISDN対応は終わった」と考えるのではなく、2028年末のINSネット終了を見据えて、現在の通信環境を把握しておきましょう。





