クラウドPBXで110・119は使える?緊急通報・発信できない番号を解説

クラウドPBXを利用する際、「110や119などの緊急通報はできるのか」「発信できない電話番号はあるのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、クラウドPBXだから110・119などの緊急通報が一律に利用できないわけではありません。
110・118・119などへの発信可否は、利用するクラウドPBXサービスや端末、外線の接続方法などによって異なります。
一方で、緊急通報に対応していない構成や、特定の短縮番号・特殊番号へ発信できないサービスもあります。
万が一の際に慌てないためにも、導入前に利用予定の端末からどの番号へ発信できるのか確認し、必要に応じてスマートフォンなどの代替手段を決めておくことが重要です。
この記事では、クラウドPBXから110・118・119へ発信できるケース・できないケースの考え方や、緊急通報できない場合の対策、その他の発信できない番号について解説します。
この記事のもくじ
この記事の監修者
この記事の監修者 登 雄三
(のぼり ゆうぞう)
保有資格:
工事担任者(AI・DD総合種)
/電気工事士
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
2010年設立「株式会社デジコンnet」の代表取締役。本社を構える神戸を中心に、全国でビジネスフォン・複合機・防犯カメラなどの機器販売や、電話・電気・LAN工事、VPN構築を手掛ける。
クラウドPBXで110・119などの緊急通報はできる?
クラウドPBXだから110・119などへ一律に発信できないわけではありません。
緊急通報への対応状況は、クラウドPBXサービスそのものだけでなく、利用する端末や外線サービス、接続構成などによって変わります。
そのため、「クラウドPBXなら緊急通報できない」「クラウドPBXなら緊急通報できる」と一括りに判断することはできません。
110・118・119への発信可否はサービスや構成で異なる
主な緊急通報番号には、以下があります。
- 110:警察
- 118:海上保安庁
- 119:消防・救急
これらは事故・事件・海上での事故・火災・急病などの緊急時に利用する重要な番号です。
クラウドPBXでは、契約するサービスや外線構成によって、これらの番号へ直接発信できる場合とできない場合があります。
また、同じクラウドPBXサービスの中でも、使用する端末によって発信方法が異なる場合があります。
たとえばNTT東日本の「ひかりクラウドPBX」では、外線利用時にIP電話機とスマートフォン・タブレット、ソフトフォンなどで発信できない番号の扱いが異なります。
スマートフォン・タブレットから110・118・119をダイヤルした場合には、クラウドPBX経由ではなく携帯電話からの発信へ迂回する仕組みが案内されています。
一方で、別の外線サービスを組み合わせた構成では110・118・119へ接続できないケースもあります。
たとえばNTT東日本の「ひかりクラウド電話 ダイレクト for ひかりクラウドPBX」では、110・118・119など一部の番号へ接続できないことが案内されています。
出典:NTT東日本「ひかりクラウド電話 ダイレクト for ひかりクラウドPBX」
つまり、緊急通報の可否を確認するときはサービス名だけを見るのではなく、実際に利用する端末と外線構成まで確認することが重要です。
なぜ緊急通報できないクラウドPBXがあるのか
クラウドPBXは、インターネットを利用してPBXの機能を提供する電話システムです。
従来のビジネスフォンではオフィス内にPBX(主装置)を設置しますが、クラウドPBXではPBXの機能をクラウド上で提供します。
そのため、スマートフォンやPC、IP電話機など、さまざまな端末を電話機として利用できるのが特徴です。
ただし、クラウドPBXを導入すれば必ず主装置・電話機・配線工事などがすべて不要になるわけではありません。外線接続や固定電話機、ネットワークの構成によっては機器の設置や工事が必要になる場合があります。
また緊急通報では、通常の通話とは異なり、発信元の電話番号や契約者情報、位置情報などを緊急通報受理機関へ適切に伝える仕組みが関係します。
たとえばNTT東日本の「ひかり電話オフィスタイプ」では、110・118・119へ発信した際、契約者の住所・氏名・電話番号を緊急通報受理機関へ通知する仕組みがあります。
このように、緊急通報を利用できるかどうかは、電話サービス側の設備や外線接続方式、端末の仕様などによって異なります。
「クラウドPBXだから位置情報を取得できず、緊急通報が禁止されている」という単純な仕組みではありません。
出典:NTT東日本「ひかり電話オフィスタイプ ご利用上の注意」
スマホ・IP電話機・ソフトフォンで発信方法が異なる場合もある
クラウドPBXでは複数種類の端末を利用できますが、端末によって緊急通報の方法が異なる場合があります。
| 利用端末 | 緊急通報の考え方 |
|---|---|
| スマートフォン | クラウドPBXアプリではなく、通常の携帯電話回線から発信する仕組みを採用しているサービスもある |
| IP電話機 | クラウドPBXや外線サービス、接続構成によって発信可否が異なる |
| PCソフトフォン | 緊急通報に対応していない場合がある |
| VoIPゲートウェイなどを経由する構成 | 接続する外線サービスの仕様によって異なる |
たとえば前述したNTT東日本「ひかりクラウドPBX」では、スマートフォン・タブレットで110・118・119をダイヤルした場合、携帯電話からの発信へ迂回する仕様となっています。
そのため、「スマートフォンだから利用できる」「IP電話機だから利用できない」と端末の種類だけで判断することもできません。
実際の発信可否は、契約するクラウドPBX事業者の公式仕様を確認してください。
クラウドPBXから緊急通報できない場合の対策
緊急通報に対応していないクラウドPBXや端末を使用する場合は、万が一に備えて代替方法をあらかじめ決めておくことが重要です。
「普段はスマートフォンを持っているから問題ない」と考えるのではなく、火災や事故などの緊急時に誰でも迷わず通報できる状態をつくっておきましょう。
契約前・導入前に110・118・119の対応状況を確認する
最も重要なのは、クラウドPBXを契約する前に緊急通報への対応状況を確認することです。
少なくとも、以下について確認しておきましょう。
- 110へ発信できるか
- 118へ発信できるか
- 119へ発信できるか
- スマートフォンから発信できるか
- IP電話機から発信できるか
- PCソフトフォンから発信できるか
- スマートフォンではクラウドPBXアプリから発信するのか、通常の携帯電話回線へ切り替わるのか
特に複数種類の端末を併用する企業では、「一部の端末からは発信できるが、別の端末では発信できない」といった違いがないか確認しておくことが大切です。
スマートフォンの通常の音声通話を利用する
クラウドPBXアプリから緊急通報できない場合でも、携帯電話会社の音声通話回線を利用して110・118・119へ発信できる場合があります。
ここで重要なのは、単純に「大手キャリアか格安SIMか」で判断しないことです。
たとえばIIJmioでは、音声通話SIMから110・118・119への緊急通報が可能と案内されています。一方、データ通信専用SIMやSMS機能付きSIMでは緊急通報を利用できません。
つまり、利用しているSIMや契約内容、端末が音声通話に対応しているかを確認する必要があります。
クラウドPBXアプリから緊急通報できない端末を利用する場合は、緊急時にはスマートフォン標準の電話機能など、利用可能な発信方法を社員に周知しておきましょう。
緊急時の代替連絡手段を社内で決めておく
緊急通報に対応していない電話機や端末がある場合は、社内で対応方法を決めておきましょう。
たとえば、以下のような対策があります。
- 緊急通報に利用できるスマートフォンなどを確保する
- 緊急通報できない電話機・端末を社員へ周知する
- 受付や共有電話の近くに緊急時の対応手順を掲示する
- 緊急時に使用する端末や通報方法を事前に決めておく
火災や事故などが発生すると、普段通りに判断できるとは限りません。
そのため「必要になったらスマートフォンからかければよい」と個人の判断に任せるのではなく、誰でもすぐに通報方法が分かる状態を整えておくことが大切です。
クラウドPBXで発信できない番号はサービス・端末によって異なる
クラウドPBXで発信できない番号は、緊急通報だけではありません。
ただし、「IP電話だからこの番号には必ず発信できない」という共通の一覧があるわけではありません。
実際の対応状況は、クラウドPBXサービスや接続している外線サービス、利用端末などによって異なります。
1から始まる3桁番号
電話には110・119以外にも、「1」から始まる3桁の番号が多数あります。
代表的なものには、以下があります。
| 番号 | 主な用途 |
|---|---|
| 113 | 電話サービスの故障受付など |
| 114 | お話し中調べ |
| 117 | 時報 |
| 144 | 迷惑電話おことわりサービス |
| 148 | ナンバー・リクエスト |
| 171 | 災害用伝言ダイヤル |
これらの番号へ発信できるかどうかも、利用する電話サービスによって異なります。
たとえばNTT東日本の「ひかり電話」では、113・117・144・148・171など多くの3桁番号を利用できます。
一方、別のクラウド電話や外線サービスでは一部の3桁番号に発信制限が設けられていることがあります。
そのため、「1から始まる3桁番号はクラウドPBXでは利用できない」と一括りにすることはできません。
業務で利用する可能性がある番号については、クラウドPBX事業者や外線サービスの発信可能番号一覧を確認しましょう。
0570・0120・0800などの特殊番号
0570から始まるナビダイヤルや、0120・0800から始まる着信課金番号についても、利用するクラウドPBXや外線サービスによって対応状況が異なります。
たとえばNTT東日本の「ひかり電話」では、0120・0800や一部の0570番号へ接続できますが、着信側の契約条件などによって接続できない場合があります。
また、別のクラウドPBXや外線サービスでは発信条件が異なることがあります。
企業では、取引先や各種サポート窓口への連絡に0570番号などを利用するケースもあるため、日常業務で利用する特殊番号へ発信できるかも導入前に確認しておくと安心です。
なお、固定電話網のIP化はすでに進展しており、NTT東日本では固定電話のIP網移行に伴う切替工事が完了しています。
ただし、固定電話網がIP化されたからといって、すべてのIP電話・クラウドPBXで同じ番号へ発信できるわけではありません。
利用できる番号はサービスや構成によって異なるため、契約時には緊急通報とあわせて発信可能番号を確認することが重要です。
まとめ
クラウドPBXでは、110・118・119などの緊急通報が一律に利用できないわけではありません。
緊急通報への対応状況は、利用するクラウドPBXサービス・端末・外線構成によって異なります。
また、1から始まる3桁番号や0570・0120・0800などの特殊番号についても、発信できる番号や条件はサービスごとに異なります。
そのためクラウドPBXを導入する際は、普段利用する電話番号だけでなく、110・118・119などの緊急通報や業務で必要な特殊番号についても発信可否を確認することが大切です。
緊急通報に対応していない構成を利用する場合は、スマートフォンの通常の音声通話を利用するなど、緊急時の代替手段をあらかじめ社内で決めておきましょう。




